想定読者
入社4年目~入社7年目
得られるスキル・知見
事業戦略の現代版ポジショニングを知ることができる
マーケティング戦略策定のポイントを網羅的に知ることができる
実践的なマーケティング実施のツールを知ることができる
この本のポイントは
- 自社の業界内でのポジションと商品力に応じて5つのプレイを使い分けることが肝要。
- マーケティングではいかに、実現可能な到達点とそのギャップを見つけられるが重要である。
- マーケティング実施に当たっては、チーム内で意識統一を図ることが重要。
図解
解説&感想
ジョン・ザグラ氏とリチャード・トング氏は、マイクロソフトでマーケティングを担当した経験を持ち、ウィンドウズシリーズのマーケティングで腕を振るわれた方々です。
尚、訳者の数江 良一さんは、早稲田大学商学部卒業後、日産自動車に入社し、主に北米向け製品企画業務に携わる。ケロッグスクールにてMBA取得後、ルイヴィトン・ジャパンKKのマーケティングマネジャーを務められた方です。(アイキャッチ画像は数江さんです。)
本書は一言で言うと、”現代版ポジショニング論決定版”と言えます。
つまり、マイケルポーターが提唱したポジショニング論を、現場の経験をもとに、現代版にアジャストしている著書と言えます。
尚、本の後半は、マーケティングの実践についても触れられてます。一粒で二度おいしい展開。
コストリーダーシップ・差別化・ニッチとしか書いてなかったポーターのポジショニングをよくもここまで、きれいに昇華させたなという印象です。
アメリカ人らしく、5つしかないと言い切るところ。
ごめんなさい。”正直嘘だろ?”と思ってましたが、読んでみると何とも納得。唸ってしまいました。
確かにに5つに集約されとるわ(笑)
これを覚えるだけで、現場レベルの経営戦略はだいぶ楽になると思います。これは各事業戦略に当てはまるので、中計策定から新規事業の立案まで幅広く使えます。
また、本書のイイトコロは、実務家らしく理論だけでなく、マーケティング実践のTipsまでつけてくれているところです。
マーケティングで大事なのは、顧客起点、長期視点、一貫性なのですが、(怪しい人は、こちらを見返して下さい。)
【図解】実況LIVE・マーケティング実践講座 本書でもその精神はモチロン取り上げられており、一貫性を出すためにチーム内で意思統一を図るツール=ブリーフドキュメントの使用を強く薦めております。
これは私も大賛成です。こういうツールがあると、施策運営の中で検討が疎かになっているところが丸わかりです。
どうも日本のホワイトワーカーの現場ってこういうツールを使いたがらないのですが、アメリカに倣ってこういうのはどんどん使うべきです。
ビジネスモデルキャンバスしかり、ブリーフドキュメントしかり、こういうツールが根付かないくせに、平気で観点を落としたりするので日本のホワイトワーカーは生産性が悪いと切に感じます。(自戒も込めて、、、)
本書は、高品質な事業戦略コンセプトとマーケティング実践ノウハウが詰まった大変良書です。
かなり迷いましたが、あまりに5つのプレイ戦略の出来がいいので、このブログでは”経営戦略”のカテゴリで取り扱いました。
とはいっても、マーケティング本としてもかなり質が高いです。その点はご認識置きを。
因みにですが、洋物らしく、中身はちょっと読みづらいです。
例え話が多いし、語り口調なため、日本語の経営書に読み慣れた方は、少し苛立ちを感じることもあるかと思います。
それでも読むべきです。こんなにキレイかつ実践的にポジショニング論を整理している本はちょっと見かけないです。
著者は、実務家です。つまり、学者ではなくサラリーマンです。
そのため、5つのプレイはとっても説得力があるし、後段のマーケティングツールは即現場で使える代物でしょう。
私も経営コンサルタントの端くれとして、こういったコンセプトを生み出せる人間になりたいと感じた1冊でした。
コメントを残す