【図解】孫氏_わかりやすく解説_前編

想定読者

入社4年目~入社7年目

得られるスキル・知見

不確実性の高い状況下で自社がサバイブするための戦略策定のポイントを知ることができる
強い組織の作り方を知ることができる

この本のポイントは

    1. 負けない・戦力を減らさない事が第一
    2. 競合・バトルフィールドの情報収集を綿密に
    3. 現場に権限を委譲して、臨機応変に

図解

解説&感想

本書は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書です。
著者とされる孫武は、紀元前500年ごろの人物で、戦国時代の新興国であった呉王闔閭に仕え、その勢力拡大に大いに貢献しました。
しかし、『孫子』の著者が本当に孫武であるのか、また『孫子』という書物の成立時期においては諸説入り乱れ、長期にわたって議論され、今では、孫武を始めとするその弟子たち(今でいう孫武グループ=孫氏)たちが編纂したとの説が有力です。
当時大ベストセラーとなり様々な国で読み継がれましたが、当時は口頭伝承でのコピーのため、段々と原型をとどめなくなってしまい、これに危機感を持った魏の曹操(武帝)が再編纂しました。(『魏武注孫子』)
我々現代人が通常手にするテキストはコレです。

因みに本記事は、約2,500年前から読み継がれている”孫氏の兵法”を大胆にも1枚絵に図解し、現代ビジネスマン向けに再解釈するというなかなか野心的な取組なのですが、モチロン本の含意を全て抽出して解説することなど不可能であり、多分に私の独断と偏見があるため、数々の誤解もあるかと思いますが、そういうモノだと割り切って、以後楽しんでください。

本書は一言で言うと、負けない戦い方と組織作りの指南書と言っていいでしょう。
約2,500年も前に、ここまで深く人間観察をし、国家生存のための戦略として純度を高めた観点を盛り込んでいる本書にはただただ脱帽するしかありません。
現代人の我々からすると、もっと構造化、ストーリー化して欲しいという欲求は多少あるものの、現代の企業戦略策定においても十分活用可能なテキストとなってます。

さて、まず本書の前提を見てみましょう。
時代背景は春秋戦国時代です。この時代は500年以上続いた泥沼の戦国時代です。ここから重要な前提が導き出されます。それは、ライバル多数と言うことです。
つまり、目の前の敵に拘っていて、お互い体力を奪い合った結果、漁夫の利を取られてしまう可能性がある。
このことから、本書の重要なメッセージの一つである”負けない・戦力を減らさない事が第一”という原則が導かれます。
まず、”戦わないことを考えなさい”と言います。できれば、外交や威嚇で投降させよと。
そして、戦うにしても、短期決戦にせよと。
そのためには、相手の準備不足や弱点をつけと。
それができないなら撤退もアリと言います。
ゲーム理論的に言うと徹底したミニマックス戦略を取ります。
蛇足になりますが、孫氏と並び称させるクラウゼヴィッツの”戦争論”はこれとは逆の立場を取ります。
彼は、勇敢さ・大胆さが重要だと指摘します。ゲーム理論的に言うとマキシマックス的な考え方です。
これは、彼の時代(ナポレオン時代)には、まだ戦争がゲームに近く再戦可能な状況で合ったこと、敵がフランス一国という
ある意味単純化された世界であったことが背景です。
この辺の比較はとっても面白いので是非比較本も読んでみて下さい。

さて、孫氏に戻りますが、時代背景や前提が非常に現代のビジネス環境に近いと思いませんか?
だからこそ、孫正義(ソフトバンク)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト)、ラリー・エリソン(オラクル)、マーク・ベニオフ(セールスフォース)といった経営者(特にIT業界)に愛読者が多いのもうなづけます。

上記の前提を置いたときに、本書を要約すると以下となります。

  1. 戦力差を見て、勝てない相手とは戦わない
  2. 勝てる相手と勝てる戦い方で戦う
  3. 味方が一致団結している
  4. 敵が戦う意思がないうちにだまし討ちして戦う
  5. 優秀な現場リーダーに権限委譲して戦う

私の図解の画をまとめると上記の5つに要約されます。
当たり前に見えますよね?
僕もそう思います。
でも名著って当たり前のことを書いているから名著なんですよね。
もっと言うと、当たり前になったとでも言いましょうか。
さて、コレだけだとあんまりなんで、ビジネス現場でよく陥りがちな罠と比べて、もう少し立体的にとらえたいと思います。
ちょっと長くなってしまったので、次回に!!
【図解】孫氏_わかりやすく解説_後編

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