【図解】意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法

想定読者

就活生~入社3年目

得られるスキル・知見

ビジネスで使う問題解決、意思決定に使う分析の基本的な考え方を知ることができる

この本のポイントは

  1. 分析とは”分けて解析する事”、即ち比較して考える事である。
  2. 分析の4つの基本的な考え方は、「大きさを考える」、「分けて考える」、「比較して考える」、「時系列を考える」。
  3. 上記の考え方を実践する上で使う3つの技術は、「ばらつきを考える」、「プロセスを考える」、「ツリーで考える」。

図解

分析技術図解

解説&感想

後 正武さんは、東大卒、ハーバードMBAを経て、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイン・アンド・カンパニーで活躍された方です。
ほとんどの産業分野において全社戦略‐実行プログラムにいたる一連の組織課題を手がけた方で、日本における経営コンサルタント草創期に活躍された一人です。

内容は、ビジネスの世界で使う”分析とは何か、どうやるか”を明快に解説してくれます。
特に、冒頭紹介した分析とは”分けて解析する事”とは金言かと思います。
その要諦は、全体像をつかむ事、MECEを意識して漏れと恣意性を無くす事(客観的でいる事)、そうして特異点を見つける事です。

私が考えるに、現在のビジネスシーンで分析と言うと、
1,ビジネス課題の深堀やその解決策となる企画立案をサポートする分析
2,ビックデータやAI/機械学習により最適解を求める分析
の2種類を指している場合が多く、
本書は1の基礎的な観点やスキルを養うのに優れた書籍と言えます。

昨今では、2のビックデータやAI/機械学習がもてはやされ、
とにかくデータを集めて、マシンに突っ込んでしまおうという風潮がありますが、
「今そもそも自社のビジネス状況はどうなっているか」、「我々はどこに向かったらいいか」に対して示唆を与える1の分析の重要性は全く減っておらず、むしろAIにとって代わられることは当分ない非常に価値の高い仕事だと感じます。
その点で1の基礎を網羅している本書は、古くて新しい、まさに古典とも呼ぶべき名著なのです。

私は大学院で統計学と経済学を専攻していましたが、統計学を学んだ人とそうでない人とで大きく異なる点は「分散を理解しているか」であると感じています。
この点は、別記事でも詳しく書きたいと思っていますが、
簡単に言うと、「現実世界に見えている事象は、母集団から抜き出されたサンプルに過ぎず、母集団の持つ平均と一定確率の誤差を伴って発生する」ということです。
平均(算術平均がほとんどですが)、や成長率とかは、皆さん慣れているでしょうが、「分散」まで考慮して数字が見れる人は少ないです。
そのため、本書を読んでここをしっかりインストールして仕事を行うだけで大きな付加価値を出す事が出来るでしょう。

因みに、私が気に入っているのは、最後の2つのアドバイス”不確実なものを考える”と”人間の課題を考える”です。
特に、手続きの正しさをもって”正しさを担保する”は民主主義の援用で非常に勉強になります。
情報も時間も有限なビジネスではゲームのように答えが分析でスパッと出ることは珍しく、これらの思考法はいつ読んでも参考になる上、後さんのコンサルティングワークでの日々の戸惑い、迷い、悩みが透けて見えるようで非常に好きです。

科学的な経営を叫ばれて久しい昨今、データ分析の重要性はますます高まっています。
ロジカルシンキングで紹介したナイフとフォークの話は、データ分析にも当てはまります(こちらは、少し重要性が薄まってワインの飲み方ぐらいでしょうか)。
ビジネスパーソンとしては、本書の内容は必須と言えます。
できるだけ早く吸収て欲しいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です