【図解】孫氏_わかりやすく解説_後編

想定読者

入社4年目~入社7年目

得られるスキル・知見

不確実性の高い状況下で自社がサバイブするための戦略策定のポイントを知ることができる
強い組織の作り方を知ることができる

この本のポイントは

    1. 負けない・戦力を減らさない事が第一
    2. 競合・バトルフィールドの情報収集を綿密に
    3. 現場に権限を委譲して、臨機応変に

図解

解説&感想

さて、前編に引き続き、今回は後編。
ビジネスパーソン向けに、重要なポイントを解説していきます。
※前編はこちら
【図解】孫氏_わかりやすく解説_前編

ポイント1:情報収集・防諜が何より重要

彼が何より重視するのは”情報”です。
前回提示した5つの原則を達成するためにも、“とにかく良質な情報を集めるべし”と、スパイの使い方にわざわざ一章割いてます。
スパイは腹心にさせるべきとの言葉もあり、どれだけ彼が情報を重視していたかわかります。
現場では、”郷間”つまり現地人の道案内も使って有利な地形で戦えと言ってます。
これは現代で言えば、現場の有識者でしょうか。
そして防諜。奇襲する際は味方をもだまして行えと説きます。
どこにスパイがいるかわかりません。
それ程情報の取り扱いを重視していたことがわかります。

ポイント2:本部と現場を分け、現場に任せる

これも、大変重要な原則です。
彼は現場にしか答えは無いと思っていたのでしょう。
もちろん、開戦前にしっかり見積もって、入念にチーミングして本部が態勢を整えます。
しかし、いざ開戦したら、以降は現場に任せるべきと説きます。
実際に現地に行って、敵と対峙して始めて敵の弱点や地の利を理解できます。
この点は非常に理解できます。
戦略の実行は時々”アート”と言われます。
つまり科学ではなく、技術なんですね。
日々刻々と変わる情勢から、スパスパと情報を取捨選択して進んでいくのはまさにアート。
だからこそ優秀な指揮官に任せる事が必要なのです。
(裏返すと、本部が事前にできるはそこまで。)
古今東西、中央本部が口を出して現場がめちゃくちゃになるケースは後を絶ちません。。。
うーん。深い。。。まさか2,500年前から課題だとは、、、

ポイント3:バトルフィールド別に適した戦い方をする

今で言うと、顧客セグメントでしょうか。
実は本書は、地形の話のボリュームがすごく多く、事細かに書いてます。
ぬかるみはすぐに出なさいとか、南東の高台に陣取りなさいとか、、、
これを現代ビジネスに解釈すると、しっかりバトルフィールド・顧客セグメントを観察してそれに適した戦いをしなさいと言っていると思います。
これ、結構怠っている企業が多いです。
面倒がらずに、しっかり場合分けして最適な戦い方をする。
これも過去の教訓としてしっかり胸に刻むべき言葉でしょう。

ポイント4:部下をまず愛す。その後に厳正にルールを運用する。部下の力を最大限引き出すためには”死地”に送る。

マネジメントのポイントですが、まず愛す事から始めるのが深い。
でも、愛しすぎて信賞必罰を間違えると組織全体が堕落します。
これも考えさせられるでしょう。
どうしても人は好き嫌いで部下に接し、裁いてしまったりするものです。
まず、全員を我が子のように愛する事。
その後、客観的なルールを守らせて組織を締める事が重要と説きます。
そしてもう一つ重要な点。
組織のダイナミズムを引き出すためには、全員に当事者意識・危機意識を持たせることが肝要と説きます。
これは私も経験があります。
チームが危機的状況に陥ると、メンバー一人一人にとって目の前の仕事が急に”我が事”になります。
そうなると自発的な創意工夫が生まれ、組織が急に活性化します。
これも深い。。。

ポイント5:戦局を一変させる新技術も積極的に取り入れる事

本書では、”火攻編”として、わざわざ火を使った戦い方を細かく書いてます。
火攻めが有効な条件を挙げ、戦い方を詳細に類型化してくれてます。
最初読んだとき、なぜここだけこんな詳しく書いているのかと疑問でした。
仮説ですが、火攻めは当時最先端の技術だったのではないかと思うと合点がいきます。
火攻めは扱い方は難しいのですが、うまくハマると一気に敵を無力化できます。
第二次大戦で言うと、航空戦力。
今のビジネス界で言うと、WebやAIといったデジタル技術に相当するでしょうか。
こういう、従来の戦い方とは違ったものについても、うまくいくときとそうでないときをしっかり研究し、活用を奨励している点に、本書の凄みを改めて感じます。

本当はもっともっと語りたいことがあるのですが、
私なりに現代ビジネスに関係ない枝葉を大胆に捨象し、
ビジネスパーソンに有用な解釈を引き出すとすると、上記の様になります。

いろんな読み方があり、これは自分にとってはどう活用できるか?を考えるのが古典の楽しみ方です。
是非皆さんにも一度手に取ってみて頂き、本記事への感想を頂けると嬉しいです。

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