もうMBAはオワコン?企業で求められるSTEM人材

さて今日は、常々コンサルティング活動を続けていく中で痛感している、
企業の求める人材と大学・大学院の輩出する人材が酷くミスマッチしているというお話をしたいと思います。

これから学部や大学院の専門を選ぶ方々は勿論、既に社会人の方もまだ間に合います。
企業のリアルな状況をしゃべります。
この人材ミスマッチ状況をしっかり認識した上で、今後自分の磨く専門を選んでもらえるといいかなと思います。

急速にSTEM人材の需要が企業で高まっている一方、供給は少なくミスマッチ

ここ5年くらいから感じ始めており、その深刻度は増すばかりです。
日本では、ビッグデータ/クラウド/IoTが流行り始めたころから始まり、
ディープラーニングがささやかれた2年前頃から加速度的に深刻度が増しています。

日本の大企業は実際はミドルレイヤー(課長~部長クラス)が回しており、このレイヤーにSTEM人材が起用されるケースは皆無といっていい状況です。
それどころか、ミドルだけでなく若手にも圧倒的に少ない。
STEMとは、、、
Science(サイエンス)
Technology(テクノロジー)
Engineering(エンジニアリング)
Mathematics(数学)
つまり基礎研究を除く理系/技術系です。
要は即戦力が求めらているということです。

文系総合職の採用・幹部登用に傾注してきた大企業は戦々恐々といった状況です。
どこの企業でもこの人材の獲得競争が激化している現状で、今ならかなり好待遇で迎えられるし、会社でも重宝されるため、結果良いキャリアを歩めるでしょう。

ここで、ちょっと焦らず、企業が求めてきた人材を振り返ります。

大体10年スパンで人材が変わってきてます。
これはおそらく10年で経済構造が変わってきている事が原因かなと思ってます。

2000~2010年 MBA大流行≒ヨコの流れ

日本企業の凋落が鮮明になり、アジア通貨危機等が起きた2000年以降、合理的な経営が流行しました。
各種学問の経営に必要な領域の統合が行われ、海外ではMBAが大流行。
国内でも一橋をはじめ沢山の大学院でMBAコースが設置されました。
当時はMBAを卒業して外資系投資銀行、コンサルティング会社に行くコースがいわゆるエリートコースでした。
懐かしいですね。隔世の感すらあります。

2010~ STEM大流行≒タテの流れ

潮目が変わったのが2009年のリーマンショックです。
優秀な人材が金融機関から大量に放出され、シリコンバレーに流れていきます。
そこからTechベンチャーブームが起きます。
今はまさにその絶頂期。
教育機関、投資家、企業が全面的にベンチャーをバックアップし、カネと人材と供給しあうエコシステムが形成され、
一獲千金をねらう人材が大量に入ってきてます。
今一番クールなのは、海外でSTEM系の教育を受けて、ベンチャーを立ち上げるコースですね。
MBAは完全にオワコンです。市場価値も一気に下がっています。
経歴書でMBAがあっても、誰も驚かないし、期待しなくなってきてますね。(話題にもならなくなってきてます。)
一方で、イノベーションを生み出すテクノロジーに対する楽観的な見方が今は主流で、この領域への投資はどの会社も厭いません。

冒頭の話に戻ります。
今この領域を勉強している、研究している大学生・大学院生・研究機関の方。
ラッキーです。かなり好待遇ですので、ビジネス界に飛び込むなら今です。
一方、ビジネス界にいるのにこの領域に問い方。
キャッチアップは必須になります。今すぐにでも動き出すべきでしょう。
さて、これから勉強する事、研究領域を探そうと思っている人はどうでしょうか?
今から着手するのはちょっと遅いかもしれません。
つまり、ビジネス界に入ることを前提とするなら、そのころにはブームが去っている危険性があるかなと思ってます。

2020年代?~ 技術経営/教養系学問大流行?≒ヨコの流れ

じゃあ次は何が来るのか?
ココから先は予想で、責任は取れませんので、皆さんの思考軸のオプションとしてとらえて下さい。

個人的には”ヨコへの回帰”が始まると思ってます。
今の流れで言うと、STEM系の知見を統合して、イノベーションを生み出す方法論をひねり出せる人材かなと。
事実、専門家達を雇ったものの、結局ビジネス成果が出せず困る企業が出始めてきてます。
また、専門家の皆さんは癖があるのでこれをまとめたり、適材適所に振り分けたりする組織論、方法論の相談を受けるケースが増えてます。
これから飛び込むならここかなと思ってます。

もう一つ注目すべきキーワードは”Humanへの回帰”です。
アメリカでは既にこんな本がベストセラーになってます。

簡単に言うと、、、
科学は過去・現状の記述を重視。これからは創造を行うことが重要で、そのためには未来予測が必要。
それは、人間・文化を観察し、文脈を把握するところにしか答えは無い。
というメッセージです。

ちょっと単純化しすぎているきらいがありますが、これぐらい偏らないと本として成立しない(メッセージにならない)ので、それは良しとしましょう。
重要なのは、こういった流れが出始めている(売れている≒たくさんの人が共感されている)ということです。

もちろん、この流れが本流になるかはわかりません。
ただ、これまでの歴史の流れや、何よりビジネスの現場にいて、クライアントから求められるスキルや実際にバリューを出しいてる人材の傾向を見ると、今の大きな流れはこっちかなと思います。

大変ですね。またアップデートしないといけません。
でも仕方ないです。テクノロジーの進化がもたらしたハイパーコンペティションの現代では、アップデートの連続は必須要件なのです。諦めて下さい。
僕もあきらめて勉強の毎日です。

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