どーも皆さんこんにちは。
”イシューからはじめよ”でおなじみの安宅さんの新刊、シン・ニホンを遅ればせながら読了しましたので、その感想を皆さんにシェアします。
ちなみに、イシューからはじめよの図解はこちらから。
文句無しで、問題解決スキルを求められる若手ビジネスパーソンの必読書です。
【図解】イシューからはじめよ 忙しさにかまけてなかなか読めなかったのですが、GWを利用して読みました。ありがとう長期休暇。
さてこの本、NewsPicksの落合陽一氏との対談の動画を見てましたし、安宅氏の経産省での取り組みはちょいちょいウォッチしていたので、大体の内容は把握していましたが、やはり通読してみて思ったのは、
若手ビジネスパーソンは今すぐこれを読んだほうがいい。
なぜそう思ったのか、ポイントは3点。
- AI業界で起きている地殻変動が日本語でかつ分かりやすく俯瞰できる
- 今後、希少価値を持つ人材像が明確に定義されている
- 安宅氏の実践を見て、ビジネスパーソンとしての視座・視野が広がる
以下、解説していきます。
agenda
1. AI業界で起きている地殻変動が日本語でかつ分かりやすく俯瞰できる
AIの現在地と(いまのところの)限界。加えてAI業界のKSFを明確に整理してくれています。
AIのできることとして挙げている例としては、
世界最高レベルの医師と同レベルで皮膚がんの識別を行う
顔画像だけで双子まで明確に判別する
歩き方から人物が誰か、認知症に罹患しているかどうかを判別する
モノクロ写真に色を付ける
モネ・ビートルズのような特定アーティストの作品の芸風を学習し、酷似したスタイルで越の作品を作る、、、
加えて、限界値としては、いわゆる自律して思考を持つ汎用型AIは当分できる見込みがない。AIは単なる計算機のお化け、ないしパターン学習のお化けと言います。
このように、現在地と技術限界を言語化してくれることで、かなり輪郭がわかってくることと思います。統計学やシステムにたとえ詳しくなくとも、一般常識としてビジネスパーソンとしてはこの程度の知識は欲しいものです。
そのうえで、安宅氏は以下のとってもわかりやすい方程式を我々に授けてくれます。それは、
AI=計算機×アルゴリズム×データ
すなわち、強力なDB・マシンスペックが必要だし、最先端のアルゴリズムが必要だし、膨大なデータが必要という事です。
このKSFを抑えることで、自社にAIは実装できないか病に侵された日本企業にとっても明快に戦略策定と意思決定ができるのではないでしょうか?
すなわち、自社だけでそんなマシンは用意できるのか?アルゴリズムを駆使できる人材は確保できるのか?自社だけでデータは確保できるのか?そもそも膨大にデータが獲得できる事業なのか?・・・etc
ポイントは本気でGoogleと対抗できる力になるのかです。でないと飲み込まれます。
最後に興味深い一説として、
現在はまさに時代の転換期にいる可能性が高い
と安宅氏は言い切ります。
産業革命前夜では、みな移動手段は馬車でした。それがわずか13年でT型フォードにとって代わられます。テクノロジーの社会実装は一度始まると不可逆であり、そのスピードは皆が予想するよりも速いという事です。
馬車に乗っていた連中はどうなったか。答えはみんな車に乗った。そして馬の代わりに車を世話する産業が一気に花開いたのだ。
2. 今後、希少価値を持つ人材像が明確に定義されている
まず言い切っているのは、ゲームのルールが変わっていることです。富の源泉は、スケールメリットを追求するゲームから、イノベーションを追求するゲームに変わっていることです。
ではどうやってイノベーションを生み出す未来を作り出せるか。これも痛快に方程式に表してくれています、
未来=課題×技術×デザイン
つまり、課題に対して妄想して、技術でその課題解決の種を探し、それをビジネスとしてデザインする。それこそが今のゲームのルールなのです。
これは私の肌感にも非常に合います。
まず技術を知らないと、もう今の現場では使いものにならないです。ここでいう技術は、現在のビジネス環境ではより狭義にとらえてデータサイエンスとエンジニアと捉えても差し支えない場合が多いです。
余談ですが大手コンサルティングファームでも、もう純粋な戦略だけ売っているファームは無いに等しいです。ハーバードビジネスレビューを読んでいても、マッキンゼー・ボスコン共に、もう技術なしの論文発表なんてないですし、そんな仕事もないです。
加えて、デザイン。これは単なるイラストや意匠の話ではなく、しっかり登場人物みながメリットを享受でき、それが成長できるエコシステムを描き、持続できるようにマネタイズができるか、いわゆるビジネス全体のデザイン力を指します。
今の戦略コンサルティングは、まさにここで飯を食っていると言っても過言ではないでしょう。
最後に課題の発見力。これはビジネスパーソンであれば特定業界の課題に精通しているとも思えますが、厄介なのは、技術がないと実は課題に気づけない(そもそも解けないとあきらめている)し、デザイン力がないと実行できないという点です。その意味でも、この3者は相互に連関しあっており、これをちゃんと組み込めるケイパビリティを持っているか、あるいは補完できるチームを組成できるかがキーとなりそうです。
若手ビジネスパーソンはもちろんそんなネットワークは無いでしょうから、少なくとも個人のスキルとしてどれかを追求できるようになりましょう。
補足ですが、現代のリベラルアーツもなかなか興味深いです。それは、
母国語+世界語(英/中)+問題解決能力+データ/AIリテラシー
と言ってます。この点はまた別途記事を書きたいと思います。
3. 安宅氏の実践を見て、ビジネスパーソンとしての視座・視野が広がる
最後に、良書に触れる醍醐味として、個人としての視座・視野が広がる点でしょう。御多分に漏れず本書もそうです。
行動的な安宅氏の活動を追体験することで、自分の努力が相対化されます。つまり全然視点が低いし、足りないと感じるはずです。
氏は非常にエネルギッシュです。ヤフーのCEOをしながら、政府のWGにも参加し、データサイエンティスト協会を支えつつ、果ては環境保護活動に技術を使った新しいアプローチを持ち込もうと活動しています。
一方、自分はどうか、、、そうですね。行動するしかないですね。
あと、単純にこういったハイレイヤーの人たちの課題意識をトレースすることも重要です。会社や取引先の重役と話す機会が万が一あったときに対応できると、同年代から一歩抜け出した印象を与えられます。
個人的には、申し訳ないですが、環境運動に興味はあまりないですが、進んで勉強するようにしています。ハイレイヤーの人たちの課題自体を知ることも重要なのです。
いかがでしたか?正直本書の内容を考えると、3冊ぐらいの内容があります。
私の紹介記事を読んでちょっとでも琴線に触れるものがあれば、是非読むことをお勧めします。
そもそも超ロジカルのなのと、おそらく意図して平易な日本語を使っているのですぐ読めます。
ビジネス本を読む間に、是非一読下さい。
コメントを残す