想定読者
入社4年目~入社7年目
得られるスキル・知見
係長・課長といった中間管理職がチームとして業務を円滑に進め、成果を出すための要諦を理解できる
中間管理職が発揮すべきリーダーシップについて知ることができる
部下へのコーチングのコツを知ることができる
この本のポイントは
- 現代では、管理職にはコーチングとリーダーシップの両方が求められている。
- リーダーシップを発揮するためには、専門性を身につけるとともに、部下に憧れられるパーソナルパワーを磨くことが重要である。
- コーチングに際しては、相手のタイプを見極めてコミュニケーションを取りながら、”任せる”事が肝要である。
図解
解説&感想
大島 洋さんは、慶應義塾大学法学部卒、米国デューク大学経営学修士(MBA)。NEC、グロービスを経て、ILD(Institute for Leadership Development)を設立。現在、同社代表として、人材組織開発コンサルティング、エグゼクティブコーチング、ならびに、経営管理者教育を展開されるとともに、早稲田大学ビジネススクールでも教鞭を振るっておられる方です。。
内容は、中間管理職がチームマネジメントをしながら成果を出していくための要諦について、学術的な成果を踏まえながら体系的に整理されております。
少し迷ったのですが、なぜ本書の対象読者を入社4~7年目としているかと言うと、中間管理職が考えていることを知ることで、毎日の業務が円滑に進むと考えたためです。(もちろん、入社3年目までに本書を読んでおくこともOKです。)
このくらいの年次になってくると、毎日の業務にも余裕が出てき始め、自分で優先順位をつけながら自分なりの仕事の進め方が身についてくる頃かと思います。
その時に、課長や次長がどんなことを考えて仕事をしているかを知ることは、チーム全体の成果を上げるうえで非常に大事になってきます。
是非、食わず嫌い、尻込みをせずに、本書を手に取ってみて下さい。
本書の良いところは、体系的かつ科学的にマネジメントという課題に取り組んでいながら、事例を交えてリアリティをもって解説をしてくれる点です。
これまでの人生の中で、誰かに指示しながらチームで成果を出す事ってほとんどの人が経験してきていると思います。そのため、マネジメントは、何となくこれまでの社会経験の延長線上で、できる気になってしまい、その無手勝流で取り組んでいる人を多く見かけます。
でもこれは大きな誤解で、本領域も勿論、これまでの学問の知見の蓄積があるのです。
これを活用しないのは大きなディスアドバンテージであるばかりか、場合によっては致命的なエラーになることがあります。是非本書を手に取り、その知の蓄積の香りを嗅いでみて下さい。
例えば、本書にもありますが、なぜか部下の成果が上がらない場合、執拗に”やり方”を説明していた李します。
でもそれは、もしかしたら、そもそも本人にモチベーションが無いかもしれないし、知識は知っていてもスキルが無いのかもしれません。そうすると打ち手は、”成果の定義を変えたり”、”任せてみて多少の失敗を見逃して経験を積ませる”事なのかもしれません。
こういう観点は、学問的知見があれば余計な回り道無く気づくことができるものです。
現代は、時間が大きな価値を持つ時代です。先達の失敗や成功の蓄積を活用しない手はないでしょう。
私がこの本と出会ったのは、初めてマネージャーに昇格したタイミングで、実は全くマネジメント領域について、知見が無いことに焦ったためです。
欲しい知見が手に入ったのは勿論の事、本書を読んで強く感じたのは、もっと早く読んでいれば、上司との不要な軋轢が減ったのに、、、ということです。
それから”ダメな上司”を見抜くコツも身に付きました(笑)
つまり”任せない上司”ですね。
私は今は、やり方まで口を出さずに”最初と最後のゴールセットをしっかりやって、あとは支援する”というスタンスで業務に臨んでいます。
これも、本書の裏側にあるこれまでの事例の蓄積があったためできることです。でなければ怖くてそんな事できないはずです。
ああ、学術万歳。
本書でも提起されてますが、コミュニケーションは共通理解があって初めて成り立つものです。
願わくば、世の若手社員全員が、本書でしっかり中間管理職のプロトコルを学んで、是非上司と円滑な関係を築いて欲しいものです。
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