想定読者
就活生~入社3年目
得られるスキル・知見
問題解決の出発点である論点設定の方法、心構えを知ることができる
前著の仮説思考と論点思考の位置づけを知ることができる
コンサルタント(特にBCG流)の思考フレームワークを知ることができる
この本のポイントは
- 論点設定は問題解決の最上流であり、これを間違えるとどんなに優れた解決策を立案・実行してもビジネス的な意味はない。
- 論点設定、解決策立案の最初は必ず仮説思考から入る
- “論点出し”⇒”論点絞り込み”⇒”構造化によるチェック”のステップで論点を確定させる。
図解
解説&感想
内田和成さんは、日本航空勤務を経て1985年ボストン・コンサルティング・グループ入社、1991年ヴァイス・プレジデント(パートナー)、1999年シニア・ヴァイス・プレジデントを歴任し、2000年6月より2004年12月まで同社日本代表を務める。2006年には米Consulting Magazine誌により「世界の有力コンサルタント25人」に選出されています。
また、彼は早稲田大学ビジネススクール教授も務めており、後進の教育も務めておられる方です。
今回は、仮説思考と論点思考のダブル紹介です。
”仮説思考”は、こちらはこれまでコンサルタントの専売特許であった思考スピードアップ手法である仮説思考の重要性と具体的な使い方を網羅的に紹介した(おそらく)初めての書であり、記念碑的な書なのですが、あまりにも仮説思考という言葉が普及し、本書を読んでも新鮮味が少ないです。(これはとんでもなくすごいことです!)
もちろん仮説思考も必読なのですが、一方で、”論点思考”のほうは、現代のビジネスパーソンにもまだ浸透しきっていない考え方ですので、こちらを中心に紹介します。
本書は、問題解決で最も重要なのは”論点を設定すること”であることを強く説いてくれる重要な書です。この点は”イシューからはじめよ”と同じです。
そう、いくら論理的思考や優れた分析技術を持っていたとしても問題設定(本書では論点設定)を間違えると何の意味もないのです。これはビジネスの世界では重要な不文律で、誰も教えてくれないですが極めて明快かつ厳然たる事実です。
例えば上司から何かものを頼まれます。その結果を本人はしっかりやったつもりでも、何か違うんだよなと言われる。
私もこの経験をたくさんしてきたし、皆さんもあるのではないでしょうか?
この場合、もちろん上司も悪いのですが、上司と”なんの問題を解くべきか?”を合意していない受注者側にも問題があります。なぜこれが問題なんでしょうか?
それは、ビジネスは、問いと答えの連続で構成されるからです。
自社のあるべき姿と現状を照らしたときの不足部分を”課題”と言います。その課題を解決し自社を伸ばしていくことがビジネスです。さて、この課題の解決をするためには何が必要か、どうすればいいか。その答えを出し、また問題が出てきて、それを解決していく、、、いうなればビジネスは問いと答えの連続で構成されていると言ってもよいかと思います。
まずはこの本質をしっかり押さえて下さい。そのうえで、、、
すぐに答えが出せる課題がみつかることは稀です。
そりゃそうですよね。学校の算数のようにすぐに答えが出せればみんなやってます。それができないからみんな困っているのです。
通常、ビジネスは非常に複雑です。あるべき姿や課題さえあいまいだし、課題それ自体も漠としすぎて明快ではありません。
運悪く間違った問題設定≒論点設定をした場合、その解決策がいかに優れていてもなんの意味もないのです。
数多ある問題解決本で出されている、答えが出せる単位まで小問題に分解し、それに答えることで大問題を解決すピラミッドストラクチャーも、そもそもの大問題が間違ってたらもうアウトです。ゆえに、、
優れたビジネスマンとはこの論点設定がうまい人を指すことが大半です。
これは私の経験上から言っても、現段階では限りなく事実と言い切っていいでしょう。
ただ、残念ながらこの論点設定には方程式はありません。優れた絵を描く(きれいな模写ではないですよ。)のに手法が確立されていないのと同じです。(裏を返すと、だからこそ貴重なスキルなのですが)
論点設定の巧拙は経験と直感のアートの世界です。でも安心してください。
その素養は確実に訓練で伸びます。
ただ、伸ばすには意識して使い続けないといけません。これは仮説思考と同様です。
私も新卒のころ、非常に論点設定がうまい人がいて感心した経験があります。これはおそらくそういう思考回路でこれまでの日常生活や学生時代を過ごしてきたという事なんですね。
基本的な論理的思考のスキルを学んだ次は、一刻も早くこのスキルの重要性を腹落ちさせ、心構え、具体的手法を実践してみてください。それが早ければ早いほど、私の感覚では二乗に反比例してビジネススキル・成果が手に入るはずです。
ちなみにですが、どちらももちろん名著なのですが、本書と”イシューからはじめよ”のどちらを読むか迷った場合は、、、
・体系的に論点設定の重要性や姿勢を学びたい初学者向けには”イシューからはじめよ”
・より具体的に手法や現場感覚を学びたい中級車向けには”論点思考”
が合っていると思います。
、、、がどちらも名著なので、
いいから二つとも買って読んでください。
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